2010年6月アーカイブ

2010年6月27日

院長日記

九条の会アピールを支持する京都医療人の会

今日は「九条の会アピールを支持する京都医療人の会」の講演会でした。

ナオユキさんの憲法漫談で笑った後、渡辺 治氏の「憲法25条の生きる社会をめざしてー構造改革、貧困、格差、医療崩壊をどう克服するか」というタイトルの講演。その内容は、


憲法9条は軍隊を禁止しているので最初から改悪が試みられていました。一方で25条は単なる理想の表明のプログラム規定とされており25条改悪は試みられず無視されていました。25条は力がない。しかしそれを覆したのが「朝日訴訟」でした。


第一審浅沼判決25条の持つ力を示したものでした。そこには労働組合が生活保護のことを自らの問題として取り組んだ成果もありました。


25条を具体化した京都、東京、大阪などの革新自治体が果たした役割は、老人医療無料化、保育所の拡充、環境問題への取り組み、・・・。しかし福祉国家はできませんでした。


日本社会の3本柱は、企業社会(企業内福祉)、自民党利益誘導型政治による地方の雇用確保、貧弱な社会保障でした。それが90年代からの構造改革で、 企業社会、自民党政治も壊しました。3本柱が壊された日本で、起こったのは反貧困、反構造改革の運動でした。貧困問題を連合を含む労働組合が一緒になって取り組んだことが特徴。ちょうど朝日訴訟と同じ構図です。


ここから先は、次の予定があったので聞くことはできませんでしたが、レジメによれば民主党政権をどう見るか、特に菅政権をどう見るか、に続きます。


レジメからも読み取れますし、私も感じていますが、菅政権は構造改革への回帰だと思います。そのあたりは「首相交代劇」で書きました。


レジメの資料には、この10年の選挙で、自民党+民主党の得票率と社民党+共産党の得票率はほとんど変わっていないことが示されていました。


ここからは私の意見です。

しかし民主党の中に(自民党の中にも)9条や25条が大切だと思っている人たちがいるはずです。そうした人たちを巻き込みながら、国民の目に見える形で第三極をつくることが必要ではないでしょうか? 運動の力が歴史を動かすのは間違いありませんが、それを可視化することがさらに運動を進める力になるでしょう。711日の参議院選挙はそうした主体づくりを進める選挙でもあると思います。


2010年6月19日

院長日記

京都市の国民健康保険(国保)

この間いくつかの学習会で、京都市国保の現状を聞きました。

3人家族で年収300万円でも40万円以上、母子家庭年収160万円でも20万円。とても生活できません。京都市は国保料の徴収率をあげるために、「徴収率向上対策本部」を設置しています。徴収を進めるのも、「保険料係」から「徴収推進係」に変わっています。リストラをドンドン進めている京都市ですが、この係については人を増やしています。


基本方針は、

1)徹底した財産調査と速やかな滞納処分

2)効率的な滞納整理のための進行管理(マネジメント)の徹底

3)人材育成の強化(研修等の更なる充実)

だそうです。

サラ金業者の基本方針と同じですね。


本来ならなぜ払えないか、相談活動をして生活の再建を進めるのが行政の役割ですが、完全にそれを放棄して「取りたて屋」になっているのが今の京都市の姿です。しかも生活維持費の差し押さえを強引に行っています。


私の勤める京都民医連第二中央病院では、高すぎる国保料が払えず保険証がなくなった方への相談活動を行い、受診につなげています。収入が少なく支払いが困難な方については、無料・低額診療事業を行い、自己負担金を減額または免除しています。

こういう取り組みは、公的な医療機関こそが率先して行うべきものだと思います。


ところで、こうした国保の問題をもたらした根本的な原因は、国が国保への国庫負担率を1984年の49%から25%まで引き下げたことにあります。現政権が「強い社会保障」を言うのならば、これを引き上げるべきですが、そのことはマニフェストには出てきません。

2010年6月 8日

院長日記

水俣病検診

66()に大阪で第15回水俣病検診が行われました。この検診は昨年7月の「水俣病特措法」や今年4月の「救済措置の方法」閣議決定を受けて、申し込みが殺到している水俣周辺出身者の診察希望に応えるために行われたものです。


61人の症状を持っている方が受診され、医師14人、看護師17人、事務20数名で行いました。


と書くと「何と豪勢なスタッフで」と思われるかも知れませんが、問診(どこで生まれて魚をどれくらい食べていたか、今どんな症状があるか、・・・)にも診察(神経所見を丁寧に調べる必要あり)にも時間がかかります。午前9時から午後3時くらいまでたっぷり時間をかけて、40人以上が水俣病と診断されました。


私が診た人の中には、脳梗塞、糖尿病などいろいろな合併症を持っている方がおられました。水俣出身であること、魚介類をたくさん食べておられたことを聞かないと、そうした合併症による症状と間違えそうになります。一方で典型的な症状を持ちながら、これまで全く放置されてきた、あるいは身内や近所に配慮して言い出せなかった方もおられます。


「水俣病特措法」には、前文で「公害健康被害補償法に基づく判断条件を満たさないものの救済を必要とする方々」とあり、対象者を水俣病と認めるものではありません。また加害企業であるチッソの責任逃れを許す「分社化」を盛り込んでおり、3年以内の幕引きを図るものとなっており、大きな問題があります。


今回の受診者の中には裁判で認定を求める方もおられます。まだ診察を希望される方が100人以上おられ、7月にも大阪で検診を行います。私の病院の外来にも、診察を希望される方が来られます。


水俣病は水銀で汚染された地域ぐるみの病気です。公害の原点でもあり、二度とこうした問題を繰り返さないためにも、患者切り捨て、チッソの責任逃れを許すわけにはいきません。

2010年6月 5日

院長日記

首相交代劇

鳩山首相から菅首相へ。

昨年来、政治と金をめぐる問題が生じてから、「参院選直前に鳩山、小沢両氏が辞めて選挙を乗りきる」ことがささやかれていました。事態は全くその通りに動いています。


菅首相の「市民が主役」という出発点はその通りであると思います。

「強い経済、強い財政、強い社会保障」

道路やダムなどの公共事業「第一の道」、構造改革、規制緩和「第二の道」ではなく、成長が期待できる介護や医療、環境、観光分野に力を入れ、雇用者を増やす「第三の道」

これらも一般論としては、そうかもしれません。私としては、第一次産業である農林漁業も触れてほしいところではありますが・・・。


問題は、短絡的に「強い財政」=消費税増税にならないかどうか。自民党は参院選のマニフェストに消費税10%を明記するようです。一緒になって財政再建、財源確保には消費税増税しかない、という世論づくりが一気に加速する可能性があります。しかし財源確保は消費税だけでなく、所得税の累進課税強化などさまざまな方法があります。


さらに菅氏の対抗馬として民主党代表選挙に出た樽床氏の主張の第一は、衆院定数の80削減。これも費用削減だけが目的であれば、定数を削減しなくても議員歳費を削減する方法があります。その方が、同じ費用で多様な意見を議会に反映できる訳です。


鳩山政権の支持率を決定的に落としたのは普天間基地をめぐる問題でしたが、沖縄以外の全国紙の論調は「安保ただ乗り論」の立場で報道をしているようです


菅氏も樽床氏も基地問題では「日米合意重視」=沖縄の思いを踏みにじる、です。首相交代劇でこの問題に決着をつけようと考えているとしたら大間違いです。「市民が主役」というならば、沖縄の立場で、そして本格的に日本にとって米軍基地は本当に必要なのか、という立場で考えてみることが必要でしょう。


間違いなく今は時代の変わり目です。変革の時代は、先入観を捨てて考え直すことが求められます。

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