2011年9月アーカイブ
The Lancet(ランセット)は世界的な評価の高い医学雑誌。そのランセットが日本の医療特集を行った。
「日本が本年、国民皆保険達成から50周年を迎える機会に、その経験を国際社会に共有することを目的として出版。日本が短期間で長寿社会を実現した要因、皆 保険制度の長所と限界、高品質低コスト医療の実態、急速な高齢化に対応する介護保険制度導入による成果と課題、保健外交における日本の優位性と役割を主要 テーマとして科学的分析と検証を行い、国内外に向けて提言を行っている。『ランセット』ではこれまでに、メキシコ、中国、東南アジア、インド、南アフリカの特集号を組んでいるが、先進国単独で特集を組むのは日本が初めである。」
昨日、近畿高等看護学校の講義「国際看護」を行ったが、国際的視点から見た日本の医療の参考に読んでみた。
私が興味を持ったのは、以下の点。
日本の平均寿命が世界一になったのは、「衛生的な文化,高い教育水準,平等主義的な社会,そして,特に結核を撲滅するための公的保健医療制度・・・」
「塩分摂取量の低減を促進する公衆衛生活動および降圧剤による高血圧のプライマリ・ケアでの管理が,脳卒中死亡率の低下に大きな役割を果たした」
「虚血性心疾患および一部のがんの危険因子が元々低かったことから多大な恩恵を受けてきた」
懸念は、「他の先進国に比べてタバコ消費量が多いこと,肥満度指数が少しずつ上昇していること,自殺率が高く,また上昇していること」
「日本食は日本人の健康改善に本当に貢献しているのだろうか」明快な回答はない。
「医療の質の構造的側面およびプロセス面はアウトカムにとってさほど重要ではない」→「保健医療サービスの利用機会の拡充を図ることと,医療費の支払いによる世帯の貧困化を予防することの2点を,優先的政策目標とするべき」
「構造的側面およびプロセス面から評価すると医療の質は不十分なのに,なぜマクロ的健康指標や入院治療から評価した医療のアウトカムが良好であるのかという問いに対しては,個々の医師の高い職業倫理がその説明になりえる」
「公的介護保険制度が家族介護者の負担を軽減したことを示す実証的根拠は少なく,また,広く支持されているにもかかわらず,一般的にこの制度は不十分であると批判されつづけている」
「専門家団体と病院団体は,医療の質の改善に取り組んでいることを一般国民に示し,自らの取り組みを透明化する用意があることを示せば,より有利な立場で保健医療資源の増加を要求することができるだろう」
言い変えれば、衛生的な文化、高い教育水準による減塩政策の成功、民族的な有利さで平均寿命を高くできた。しかしタバコ消費量が多く、肥満度が上昇し,自殺率が高く今後は予断を許さない。
平等主義的な社会が有利に働いたが、格差の拡大により医療へのアクセスが困難になってきている。
日本の医療を支えているのは個々の医師の職業倫理。
今後さらに医療の透明化が必要。
これらは、健康の社会的決定要因(WHO)そのもの。
これらの概要を話しつつ下記の内容を話したが、どれだけ伝わっただろうか? 写真を多用して分かりやすくしたつもりだけれど・・・。
日本の医療の国際評価はトップ(WHO 2000)。
日本は先進国で最も医療にお金をかけていない(GDP比 8 %)。
日本の「実質患者負担割合」は先進国で最も高い(ヨーロッパでは窓口負担は無料が基本)。
「実質患者負担割合」=保険料負担のうち被保険者負担分+患者自己負担分+差額ベッド代
約20年間で、医療費のうち国と事業主負担は減り、家計と自治体負担は増えた。
日本の医師数は人口当たり先進国で最低レベル(1,000人当たり日本2.1人、OECD諸国3.1人)であり、その差はさらに開きつつある。
医師労働は労働基準法違反状態が常態化している(長時間労働)。
産婦人科医、小児科医は減少傾向にある。
特に若手医師の中でその傾向が強かったが、最近やや増加してきている。
産科施設、小児科のある病院が急減している。
急速に女性医師が増えているが、諸外国に比べるとまだ少ない。
20歳代の産婦人科医の2/3は女性である。
病院も含めて民間医療機関が多い(ヨーロッパでは病院は公立)。
2004年の新臨床研修制度開始以降、大学病院で研修を始める医師が激減した。








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